思わず寄付したくなるオーケストラ3選

日本国内のプロオケの中で、思わず寄付したくなるような寄付金の制度設計をしているオーケストラを3つ、ご紹介します。

第3位:日本フィルハーモニー交響楽団

「思わず寄付したくなる!」の代名詞といえば、特典が豪華な場合です。

その代表格が日フィル。なんと、一定額寄付すると、サントリーホールの定期演奏会にすべてご招待されます!いいですね。

でもでも、それだけじゃありません!さらに今お申し込みの方には、もれなく年間6公演分の選べるチケットがついてきます!

うわぁ〜すごいですね!そんなに豪華にしちゃっていいんですか!?

いいんです!これだけの豪華な特典がついて、おいくらだと思いますか?

えー?20…いや30万円?

なんと!今回は特別に、12万円でご提供します!!!

うわ〜すごい!パチパチパチ!

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ポプラ 3万円。主催公演が2回聴けます
メイプル 5万円。主催公演が4回聴けます
マロニエ 12万円。サントリー定期に毎回1名+6公演
エルム 20万円。サントリー定期に毎回2名+8公演
リンデン 50万円。サントリー定期に毎回2名+20公演
オーク 100万円。ご希望の演奏会を2名ご招待

日フィルさん、宣伝しておきましたよ☆

第2位:東京都交響楽団

都響の個人寄付会員は、TMSOサポーターと言います。年会費は1口1万円単位です。

1口・3口・5口・10口・30口・50口にそれぞれ特典が用意されており、50口以上寄付すると、スペシャルプレゼントが贈られます。ちなみに、このスペシャルプレゼントがどんなものかは分かりません。ワクワクしますね!

1口 パーティーへのご案内
ゲネプロへのご招待
ご芳名掲載
機関誌の進呈
チケットの優先予約
チケットやCDを特別価格で販売
3口 イベントへのご案内
5口 チケットの最優先予約
10口 CDやDVDの進呈
25口 リハーサル特別見学
50口 スペシャルプレゼント

都響の寄付制度の良いところは、寄付金額を増やしたくなるような、小まめなランクアップが図られている制度設計であることと、定期演奏会への招待を止めたことです。演奏会への招待を寄付制度の特典に盛り込まない選択は正しいと思います。

単純に財政的な側面から言うこともできますが、本当の意味で楽団を支えるには、負担の少ない特典でなければ寄付の意味が薄らいでしまうことを寄付会員に自覚させる必要があるからです。自覚さえしてもらえれば、単なる上得意客になるばかりではなく、口コミをしてもらえたり、宣伝してもらえたりすることもできるのです。人によっては、都響倶楽部などのボランティア活動に参加する人も出てくるでしょう。

また、法人の寄付会員には、一口単位の寄付のほか、「演奏会(単体)支援」や「演奏会(シリーズ)支援」などの新しい切り口も見せています。こういった取り組みをみると、頭をひねっているなぁと好感を持ちます。

第1位:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

「なかなかいいな」と率直に思ったのが神奈フィルです。寄付の特典は個人の場合6段階、法人の場合は4段階あるのですが、一風変わった特典が面白い(^_^;)

例えば、個人で100万円以上寄付すると、マエストロからの感謝状贈呈及び記念撮影ができるといいます。…感謝されてみたいものです。

また、法人で300万円以上なら、事業所等での小編成による演奏をしてくれるそうです。…社員に自慢ができますね、社長!

アルコ 5000円。年3回の情報紙の郵送、チケットの先行販売、公開ゲネプロへの招待
スコア 1万円。アルコに加え、ご芳名掲載及び非売品の進呈
タクト 5万円。スコアに加え、限定イベントのご案内や2公演へご招待
ポディウム 10万円。タクトに加え、さらに2公演のご招待、非売CDのプレゼント
ヴィルトゥオーゾ 50万円。ポディウムに加え、さらに6公演(計10公演)へのご招待とマエストロの直筆メッセージカード及び年間活動報告ビデオのお届け
マエストロ 100万円。ヴィルトゥオーゾに加え、さらに10公演(計20公演)分のご案内とマエストロからの感謝状贈呈並びに記念撮影

ちょっと話はそれるかもしれませんが、年5000円の寄付制度もありかもしれません。

内容も、情報紙の発送と先行販売日の設定、公開ゲネプロへの招待ですから、とりわけ負担感もない。

ただし、印刷代や郵送代がバカにならないかもしれません。

ですが、ここは逆の発想で、損して得とれ。

逆に、毎月送付だとかにして、一人当たり5000円の経費をかけてみるのです。

「そんなことしたら、寄付金の収益が減っちゃうじゃないか」と考えるかもしれません。

もちろん、ほとんど何も特典を与えないで、5000円の収益を狙うのも間違いではありません。

しかし人は、「試しに立ち読みしてみよう」「試しに資料請求してみよう」などと、購入前にお試しをしてみるものです。それは、寄付であっても例外ではありません。

ですから、5000円で収支がトントンのクラスを設け、そのクラスへアプローチを続けることによって、数万円や数十万円の寄付へ誘導していくのです。

すなわち、上得意客を生み出すためのステップアップとして、5000円の寄付クラスを活用する、というわけです。

そのためには、情報紙の郵送頻度を上げることが重要です。

番外編:日本センチュリー交響楽団

実はこの記事、センチュリー響が1位だろうなと予測して始めたのですが、なんと、ホームページにアクセスしたら、口数に応じた寄付特典の一覧表が削除されていました!なんてこった!

知らない方のためにいうと、最高1000万円までの口数で寄付特典が細かく整備されていたんですね。

だから、制度設計としては完璧でした。なのにどうして…。

やはり、大口の寄付者が現れないから「もういいや」となってしまったのでしょうか…。

先進的な取り組みだっただけに残念です。1000万円寄付して好きな楽曲をリクエストして曲目に入れて貰うのが密かな夢でしたが、それは叶いそうにありません(泣

担当者の方に言いたいことが2つあります。

一つは、「全然間違っていなかったよー」ということ。

もう一つは、「成果が出るまでには時間がかかるよー」ということ。

間違っていない点を挙げると、細かな制度設計をすることによって「ステップアップしやすいから」ということです。

さらに、高い目標を組み込むことによって、一部の信者が本気で目指し始めるということです。

クレジットカードの特典などで、購入額に換算するとあり得ないポイントでの特典を用意しているケースがあります。でも、実現する人が出てくるんですよね。それで、それが伝説になり、またそこを目指すツワモノが出てくるのです。

ですから、高い目標設定や細かい段階設計は、正しい判断だったのです。

「でも、実際に高額寄付する人がいなくちゃ意味ないじゃん」

それはそうです。でも、高額寄付するためには、時間を要します。

普通、高額寄付の決意が固まるまで数年かかり、実際に寄付するまでにまた数年かかります。下手すると10年ぐらいかかるかもしれません。

もちろん、すでに資産を持っている人が熱烈なファンになったので高額寄付する場合には、もっと短い年数で済むでしょうが、「生活があるしなー」とか「どうしようかなー」などと悩んで数年経つのが関の山です。

ですから、10カ年計画だとかの長期的視点で臨むべきなのです。

そりゃN響だったら事情は違ってくる(1口50万円以上の寄付しか受け付けないぜ!という感じ)でしょうが、N響じゃないのですから、小予算だけど時間のかかるマーケティング戦略で取り組むしかないでしょう。

この件については、重ね重ね、本当に残念です。

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